A VIDA EM ROSA

日本文化とポルトガル語を愛する私の部屋。

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フェルマーの最終定理

 「nが3以上の整数であるとき、Xn+Yn=Znを満たす整数XYZは存在しない」
 17世紀フランスの法律家ピエール・ド・フェルマーによって問いかけられたこの予測は英国生まれの数学者アンドリュー・ワイルズによって1995年に証明された...


 歴史的史実としてはたったこれだけで終わってしまう出来事であるが、この史実の背景には語り尽くせない多くの偉大なる数学者達の活躍がある。というわけで、今日は私カカセオ一押しの一冊をご紹介!

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
(2006/05)
サイモン シン

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 事の発端はピュタゴラスによる三平方の定理、つまり全ての直角三角形につきX2+Y2=Z2(Zが斜辺)という関係が成り立つとするかの有名な公式に行き着くのであるが、乗数が2の場合にはここでのXYZに該当する整数は無数にあるのに対し、3以上にした途端にゼロになってしまうのだ。
 この奇妙な事実こそが法律家を本業としながら趣味の数論を楽しみ尽くした天才=フェルマーが世に問うた、その後350年にわたりあまたの数学者の証明を拒み続けた「フェルマーの最終定理」と呼ばれた悪魔の証明課題だったのだ。

 数学的証明の真価はその絶対性にある。例えば裁判における証明はもとより科学的証明でさえ「合理的な疑問にすべて答えられる」だけの証拠をもって十分とされる。これに対し、数学的証明においては常に100%の証拠を要求されるのだ。それゆえに数学的証明は一度証明されてしまうと後世で覆る事がない。
 しかし、これはそれだけ数学的証明が難しいという事をも意味している。特にフェルマーの最終定理に関しては「文明はフェルマーの最終定理が解かれる前に滅びるだろう」(E.T.ベル)とまで評されたのである。後世の数学者達をあざ笑うかのようにフェルマーはこんなメモを書き残していた。
 「私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことは出来ない」

 さて、難攻不落の城フェルマーの最終定理に最初に肉薄した人物がレオンハルト・オイラーであった。18世紀最高の数学者と称されるこの大天才はXn+Yn=Znにおけるnが3の場合に解が存在しないことを証明した。
 生前フェルマーはnが4の場合について解がないことの証明については書き記していた。
 オイラーはその証明をヒントにnが3の場合の証明を成し遂げたのであるが、これはnが4の場合よりも遙かに難しくまた重要なものであった。
 それは3が素数だからだ。素数はあらゆる数の原子とも呼べるものであり、素数以外の数は全て素数を掛け合わせて作る事が出来るのであるから、フェルマーの最終定理におけるnも結局は素数の場合だけを証明すれば足りることになる。
 しかし、一筋の光明が差したかにも思えるオイラーの証明であるが、実はそう甘くはなかった。なぜなら、素数も無限に存在するものだからだ。無限に存在するものにいくら絞りをかけても有限にはなり得ない。

 時代はさらに進み、フェルマーの最終定理を巡る物語は更なる暗黒期を向かえていく。
 女性蔑視の強い当時のフランスにおいて差別と闘いながらも「数学者の王」カール・フリードリヒ・ガウスという知己を得たソフィー・ジェルマンの活躍が切っ掛けとなり、それぞれ異なる学者によってその後n=5、n=7の場合にも解のないことを証明され、さらにはガブリエル・ラメ、オーギュスタン・ルイ・コーシーの両者がフェルマー最終定理に対する完全な証明を予告した。
 しかしながらそうした期待もエルンスト・クンマーによって全てひっくり返されてしまう。
 さらに追い打ちをかけたのがあのクルト・ゲーデルの不完全性定理である。ゲーデルは、完全で矛盾のない数学体系をつくるのは不可能であることを証明し、たとえ公理を使っても数学には証明することの出来ない問題が存在することを示したのだ。すなわちこれは、例えフェルマーの最終定理が真理だったとしても、それを証明する方法があるとは限らないという非情な現実を突きつけられた事を意味していた。

 さて、そろそろ主人公アンドリュー・ワイルズに登場していただこう。
 数学好きだった少年アンドリュー・ワイルズは10歳の時図書館である一冊の本に出会った。その本に書かれた不思議な公式は瞬く間にこの天才少年を虜にしてしまったのである。その公式は10歳の彼でも理解出来るほど単純なものなのに300年以上誰一人解く事が出来ないでいるという。この「フェルマー予想」に出会った彼の人生は以後それを解くことのみに向けられていくのである。
 やがてケンブリッジの大学院生となったワイルズであるが、彼はここで一旦フェルマー問題からは距離を置く羽目になる。なにせ百戦錬磨の学者達が束になって取りかかっても全く歯の立たないフェルマー予想である。いかにワイルズが天才とはいえ一院生に過ぎない彼がいきなりフェルマー予想にとり取り組む事は無謀以外の何者でもなかったのである。
 彼の指導教官は楕円曲線論というフェルマー予想とは何の関係もないテーマを彼に与え、ワイルズはしばしの間その研究に没頭するのである。ところが、運命とは面白いもので、この楕円曲線論こそがフェルマー予想の証明という偉業達成に多大なる貢献をすることになるのである。

 ここで、二人の日本人数学者が関係してくる。志村五郎と谷山豊である。
 1955年、未だ第二次大戦の後遺症に苦しむ日本の数学界で、若手の研究者たちが中心となった初の国際シンポジウムが開催された。世界の一流学者達を相手に日本の若手数学者達は、その多くのテーマがやや流行遅れのものでありながらも賢明に各自の研究成果をつたない英語で発表したのである。
 だが、そのなかで谷山が提示した仮説は世界中の数学者達を驚かせるものであった。それは従来全く別分野のものとして考えられていた「楕円曲線とモジュラー形式とが同一ではないか?」とするアイデアであったのだ。
 どの分野の学者であれ、彼らは総じて「体系」の構築に喜びを感じるのであり、それまで無関係であったテーマが結びつくことに一種の芸術的価値すら見いだすのである。無論そうした学問的美しさ以上に、異テーマ統一による相乗効果が研究成果を一気に加速するという実利がより重要なのだ。
 谷山の予想はその後志村の手によってより厳密な仮説へと組み立てられ、「谷山=志村予想」として学会へと広がり専門家を仰天させながらも次第に有力な仮説として認知されていったのである。しかし、その一方で誰もそれを証明出来る人間はいなかった。数学者達の多くはこれもまたフェルマー予想と同様に証明不可能なものと考えていた。

 ところが、その後「谷山=志村予想が正しければフェルマー予想も正しい」という驚くべき事実が明らかになるのである!
 その事実を友人宅で聞いたアンドリュー・ワイルズは封印していたフェルマー予想の証明へと本格的に取り組む決意をする。フェルマー予想を証明するには谷山=志村予想を証明すればよい、しかも谷山=志村予想は自分が専門として選んだ楕円曲線論に関するものなのだ!
 すぐさま証明に取りかかるワイルズであるが、難題の連続であった。彼は徹底した秘密主義を貫き約7年間孤独な闘いに没頭した。彼が谷山=志村予想を証明するのに用いたツールが、数学史に劇的な一頁を残した19世紀フランスの天才エヴァリスト・ガロアによる群論に関する研究であった。難解を極める彼の研究は全てが極秘に進められた。
 
 1993年6月23日、ケンブリッジのニュートン研究所において行われた研究集会において、ワイルズは三日間に渡り「世紀の講演」をすることになった。彼の題目は「モジュラー形式、楕円曲線、ガロア表現」であった。ただし、この講演の最終目的を知っている人物はほんの一握りに過ぎなかった。
 一日目、二日目と講演が終了に近づくに連れ、参加者達から「もしかしたら...」という噂が飛び交い始めた。
 講演三日目、20世紀最大の数学事件の噂を耳にした参加者達で講演会場内は満杯となり通路にまで人が溢れる始末となった。講演の終わり間際、研究所長が取り出したシャンパンによってその噂が事実であることを誰もが確信した。
 ワイルズが最後に書き記した公式、それは紛れもないフェルマーの最終定理であった.....

 この歴史的講演の後、ワイルズの証明は一カ所不完全な部分が発見され、彼はその完全な証明を成し遂げるまでさらに2年間の苦労を費やす事になる。この時発見されたエラーは実はかなり深刻で一時期はワイルズ自身絶望しかけた程であったが、彼は最後まで諦めずついに1995年この歴史的証明を完成させたのである。
 こうして、17世紀に一人の悪戯好きな学者が謎をかけ、その後3世紀以上に渡り多くの数学者達を巻き込んだ大問題は決着をみた。たった一つの問題がこれだけ多くの天才達を夢中にさせてきたのだ。
 この物語に登場した数学者達の人生はどれもが波乱に満ちている。卓抜した才能と独創性で世界に誇るアイデアを生み出しながらも突如自殺してしまった谷山。その谷山の予想を必死の努力で完成させた志村。あまりに革新的であったため同時代では誰も彼の理論を理解出来なかった悲劇の天才ガロア。
 謎をかけたフェルマー本人は果たしてこれほどのお祭り騒ぎを予想していたのだろうか?
 
 .....というわけで、「フェルマーの最終定理」如何でしたか?
 人々の関心は歴史そのものよりむしろ個々人に向けられるのが常でありますが、私はこのフェルマー最終定理を巡る物語を読んだ時ほどそのことを実感した事はありません。

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シャガールは恐妻家?

あちゃ~
またこんなにブログ放ったらかしにしてしまった!
ハッキリ言って今とても忙しいのです。
ヘトヘトなんです。 

ハァ~

まあ、肉体的には特に疲れている訳ではないんですが、なんか最近精神的に辛いです。
仕事が面白くないんですよね、最近。

さて、愚痴はこれくらいにしておいて、こんな気分を多少なりとも晴らしてくれた一冊の本。

アトリエの巨匠に会いに行く ダリ、ミロ、シャガール… (朝日新書)アトリエの巨匠に会いに行く ダリ、ミロ、シャガール… (朝日新書)
(2009/06/12)
南川 三治郎

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いや~面白かった。
少し前、通勤途中で聞いていたラジオでこの本が紹介されていて、とても興味を持ったので早速読んでみたのですが、いやはや一流のアーティスト達の意外な素顔が覗ける貴重な書籍です。

サラリーマンなどという実につまらない仕事をしている私からみると、芸術家というのはただただ憧れの存在です。
私を含め俗物というのは普段自分の感性を「社会常識」という不可解な規範のために押し殺し、「常識人」という実に下らなく面白みのない無個性な人格者となることを強いられているものです。
ところが、アーティストって違いますよね。

ダリ、シャガール、ミロ、岡本太郎.etc....この本ではそれこそ世界に名を馳せた一流の芸術家達のアトリエを撮影取材しているのです。
特に面白いのがサルバドール・ダリ。
この人、思いっきり金の亡者なんですね!
著者が取材を申し込む度に「金を払うか?」と聞いてきたのだとか。
数年間に渡る苦労の末、ついに実現したダリの取材。
そのインタビューの内容は金の事ばかり......

>冬の間アメリカでは何をしていました?
「ニューヨークで金を稼ごうと思ったからさ....金が好きなんだよ僕は!」

>今、ダリ先生は74歳、これからは?
「....金、金だね。金のためならなんでもしよう」

いやはや....誠に恐れ入りました!

シャガールの取材も面白いです。
シャガールといえば愛妻家として有名でしたが、その実は恐妻家だったのですね!
取材の為、はるばる訪ねてきた著者を「今日は!、よい天気じゃないか?」と親しげな笑顔で向かえてくれたシャガールに対し、何とも鋭い視線を浴びせるヴァヴァ夫人。
著者が撮影する度に「もう充分じゃなくて?モン・マリー(私の夫)は疲れているのよ!」としゃしゃり出てくる。
夫人が席を外した途端、シャガールはこうつぶやく
「ヴァヴァがうるさいのじゃよ。あのバアさんがいる限り、何一つワシの自由にはならん......」

芸術家ってやっぱり素敵だ!



パチンコは止めましょうね!

この話題はあまりに品がないので若干書くのを躊躇してしまうのですが........
もし以下の書き込みを見て気分を害された方がいても大目に見てください

パチンコのお話です。

実は先日、某ブラジル人女性より大変心外な事を言われたのです。
「カカセオさんは、パチンコに狂っていて借金を抱えているんですって?それが原因で奥さんに逃げられたって.....みんなそう噂してますけど......」

はあ?

なんじゃそりゃ

まあ、多分実際にそういう事態に陥った人がいたんでしょうね。
で、その話しが伝達される過程のどこかで、主人公がその誰かと私がすり替わったのでしょう。
正直、私の地元は全国的にもパチンコ人口が多く、友人・親戚・同僚やらを見回してみても本当に多くの人がやっているのです。
つまりそれだけ馬鹿が多いということです。

あ、今のは問題発言だったですか?
ですが、撤回する気はありません。
私はパチンコなどにうつつを抜かす人間を心の底から軽蔑しているのです。

ピーク時の三十兆超え時代と比べるとここ数年減少傾向にあるとはいえ、未だにその市場規模はなんと二十数兆円という超巨大市場。
約千五百万人(!)もの日本国民のがこの下らない遊技にうつつを抜かし、平均で年間に十万円以上消費しているのである。
一言で三十兆産業などとは言うけれど、これはオーストリアのGDPを超える額なのだ!
想像してみてほしい、もしこの莫大なお金を他の娯楽や文化活動へ回していたらどれほどの経済効果を生んでいるであろうことを。

しかも私などが今まさら指摘するまでもなく、そこに渦巻く日本社会の闇......
巨額な脱税・犯罪の温床となり、警察との癒着をもたらし、暴力団さらには北朝鮮軍事費に対する莫大な資金源にもなっている事実......
日本人がボケ~っとしながらあの下らない遊技で落とした金銭の一部(とはいえ巨額な金銭)が、北朝鮮へ流れ、その資金によって作られたミサイルを日本へ向けられ、さらには拉致や破壊工作の資金となっているのです。
そうとも知らずにテレビで放映される拉致被害者家族の姿を見て涙し、テポドンを発射する金正日は許せん!などと言っているのです。

これを馬鹿と言わないのなら何を馬鹿と言うのでしょうか?

これ以上書くとちょっと流石にマズイのでこの辺で止めておきます

興味のある方にはこの本の一読をお奨めしておきます
パチンコ「30兆円の闇」 (小学館文庫)パチンコ「30兆円の闇」 (小学館文庫)
(2009/01/08)
溝口 敦

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最後に同書籍のあとがきより引用して終わりにします。

「ファンがパチンコ、パチスロに費やす膨大な時間とカネは善悪是非をいっている段階ではない。たいていが開店を待ち構え、行列をつくっている。彼らの時間と労力は勉学や生産に結びつかず、彼らの金銭はパチンコ産業の枠内で空転して、いたずらにホールや台メーカーをはじめパチンコ関連業者を潤し、中国人や暴力団の資金源になり、しかも警察の利権と化して警察をも汚染している.......」


今求めれるのは財政政策ではなく金融政策だ!

さて、例の定額給付金、一体いつになったら決まるのだろう?
もともと生活支援金的意味合いの給付で決めれば良かったのに、どうも最近はこれを財政政策としても位置づけよう! というのだから呆れたものである。
こんなもの財政政策として何の役にも立たないことは、それこそ高校生でも知っている。
なぜか?
単純に財政政策規模の問題ではない。
その辺の絡繰りを実に平易に解説してくれる新書を見つけたので、今日はそれを紹介しますね~

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)
(2008/12/16)
高橋洋一

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そう、ご承知の通り、「埋蔵金発見男=高橋洋一氏」の著書です。
この人の面白い所は、元財務相キャリアでありながら東大理学部数学科卒という理系出身である点です。
財務相官僚は多くが東大法学部出身ですから、数字に強い人は意外に少ないのです。
高橋氏が「埋蔵金」を発見したのも、ディスクロージャーされた特別会計のバランスシートを丁寧に追っていったおかげでした。
余談ながら、「埋蔵金」の名付け親はなにを隠そうあの「与謝野研究会」。
特別会計の資産負債差額への指摘に対し、「そんな埋蔵金みたいな事を言うな!」とその存在を強く否定したのが切っ掛けらしいのですが.......いやはや.......
あ、そういえば定額給付金って「埋蔵金」の一部から出すのでしたね?(笑)

さて、始めに告白してしまいますと、私は先の「小泉改革」に対しこれを真っ向から批判する思想を持った人間ですから、竹中氏の部下であった本書著者である高橋氏に対しても相当に偏見を持った見方をしているのであります。
つまるところ、マスコミもそして国民も大好きな「公務員叩き」の正体は、アメリカによる日本改造計画の為のプロパガンダに過ぎない、と思っているのです。
ですが、そういった大きなベクトルはひとまず心の片隅にしまっておいて、ともかくは「正しい経済のセオリー」というものを氏の著書で勉強させてもらいましょう!

で、早速読んでみた感想ですが、「実に素晴らしい一冊」でした!(だから書評しているのですが)
最後まで一貫した論理、そして経済素人が読んでも本当に分かり易く書いてあるのです。
私はもったいぶるのが嫌いなので最初に結論を書いてしまいますが、今の日本での不況を脱出させる為には財政政策ではダメで、金融緩和政策(つまり利下げ)を実施しろ!というのが氏の主張です。
その論拠とするところが、1999年にノーベル経済学賞を取った「マンデル・フレミング理論」です。
これを一言で説明すると、「変動相場制の下では、経済政策は効果がなく、金融政策しか効かない」というもの。
なぜなら、財政政策を実施するときには一般に国債を発行して公共投資を行いますが、国債を発行して民間から資金を集めると金利が高くなります。
金利が高くなると、その通貨(日本なら円)を買う人が増える訳ですから為替は円高となり、輸出が減る事になりますから、結局は公共投資の効果は他国の輸出増をもたらすだけで、我が国へのメリットはすっ飛んでしまうという訳なのです。
それに対し、金融政策として金利を下げてあげれば、為替は円安となり輸出増へとつながる訳ですね。

実際、これは驚くべき事ですが、我が国の不況の原因はサブプライム問題ではなく、06年から07にかけての日銀による金融引き締めという失策にあるというのです。
内閣府による景気動向指数はその事実を如実に物語っているのです。
さらに、本書でとくに興味深いエピソードだったのが1929年の世界大恐慌最新研究に関するもの。
我々が教科書で習った「ニューディール政策による大規模公共投資+戦争による公共支出によって恐慌から脱出出来た」とする歴史認識は現在では覆されつつあるのです。
大恐慌脱出のカギは金融政策にあった!と説いたのが現FRB議長バーナンキ。
つまるところ、大恐慌の原因は金本位制にあった訳で、拡大するアメリカ経済に対して金貨の供給が追いつかず、そのために強烈なデフレに陥った事にあったのです。
実際にルーズベルトが行った最初の政策は財政政策ではなく、金本位制度からの離脱と銀行閉鎖という金融政策だったのです。

さて、止まらない円高・デフレに悩む日本経済。
これに対する高橋氏の主張は最初から最後まで「適切な金融政策」と一貫しているのです。
そのためには政府がしっかりとした物価安定目標を設定し、日銀がそれを独自の責任の下で自由な手段を持って実行すればよいのです。
このような当たり前の事がなぜ実行出来ないのか?
本書ではその辺りの事情について「利下げを潔しとしない日銀特有のDNA」を一つに挙げていますが、私にはどうももっと他に根本的なものがあるような気がします。
まあ、興味のある方はご自分で読んで考えてみてくださいませ。


原爆の秘密・国外編を読む!

お久しぶりです。
この所、毎晩スポーツクラブへ通っていて帰宅するのが夜中になっています。
そんな訳でPC開くのも久しぶりです
ブログも放ったらかしでしたね...............^^

で今日の本題です。
先日紹介した例の書籍、一通り読んでみました。
毎晩、布団の中で眠い目を擦りながら読んでみましたが.......

原爆の秘密 (国外編)殺人兵器と狂気の錬金術原爆の秘密 (国外編)殺人兵器と狂気の錬金術
(2008/07/19)
鬼塚 英昭

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ハッキリ言って、非常に読みづらい本でした。
とにかく、他書籍の引用が次々に登場し、しかも1つ1つの内容が難解なので、各事項を頭の中で整理しながら読んでいかなければならないのです。
たった一回通読するだけで、かなりの時間を費やしてしまいました。
本書はユダヤ財閥に関する基礎知識がないと読むのはちょっと辛いと思います。

で、予め書いておきますが、一読しただけの私がこの書籍を安易に批評する資格は全くないのだという自覚をまずは明らかにしておきます。
実際、本書の内容を正確に理解し、批評を加えるとなると、引用された全ての資料を読み込んでいく必要があるでしょう。おそらくそれだけで数ヶ月経ってしまいます。
ですから、ここに紹介出来ることは本書のほんのさわりに過ぎませんし、私が記す意見もあくまで私の主観に過ぎない、ということをご理解下さい。

では、内容を紹介したいと思います。

まずは、「アインシュタイン書簡」に関するエピソードから本書は始まります。
アインシュタインの弟子レオ・シェラードが書いた書簡ですが、これがアインシュタインを通じてルーズベルト大統領に渡され原爆開発の契機となった、とされる有名なものです。
この書簡の中で本書が注目するのはベルギー領コンゴです。
ここで産出されるウランを確保せよ!とシェラードは暗に指図している、と本書は指摘するのです。
実はコンゴのカタンガ地方を経済的に支配していた親玉が何を隠そう、ロスチャイルド分家なのです。
そもそも、物理学者であるシェラードやアインシュタインがなぜ「コンゴのウランを買え!」などと大統領に進言する筋合いがあるのか?要はコンゴのウランをアメリカに買わせて原爆を作らせ金儲けをする、という目的の為にロスチャイルドが同胞のユダヤ人達を利用したものが「アインシュタイン書簡」であると言うわけです。

さて、原爆開発を最初に立案したのはイギリスでした。
ところが、ナチスドイツとの戦争で疲弊したイギリスは財政的に逼迫し原爆開発は頓挫します。
そこでイギリスはアメリカにこの計画を売り込むのです。
チャーチルとルーズベルトは「ケベック協定」を結び、イギリスの原爆開発情報はアメリカに譲渡されたのです。
この裏にはもちろん、ロスチャイルド系イギリス企業インペリアル・ケミカルズとアメリカの企業デュポンとの蜜月関係が背景にあります。
そして、ここからが本題になっていきます。
第二次世界大戦中に暗躍した世界をまたがる金属カルテルの存在を明らかにしていくのです。
先のインペリアル・ケミカル、デュポンを始め、モルガン系企業GE(ゼネラル・エレクトリック)、カナダのインターナショナル・ケミカル、はてはドイツのIGファルベンまでも単一カルテルを形成していた!と指摘するのです。

この金属独占大資本網こそが、物理学において原爆開発の兆しが見え始めた第二次大戦前あたりを境に「原爆製造」という巨大産業の実現に与した真の黒幕である!というのが本書の主張なのです。
ドイツに原爆が落とされず、日本に落とされた理由もそこにあるという訳なのです。
つまり、ドイツも最初からグルだったという事です!

さて、周知の通り原爆にはウラン濃縮型とプルトニウム型の二種類ありましたが、本書によると前者に必要とされるプルトニウ235は、「ロックフェラー=メロン財閥」が主に製造したものであり、後者のプルトニウムは「モルガン=デュポン」(ロスチャイルド)が主に製造したものである、としています。
こんな知識を一体どれほどの人が知っているのでしょうか?
確かにこの原爆開発を端緒としてアメリカの軍産複合体が形成されていった、という理解は広くされているとは思いますが、その背景にある両大財閥の対立にまでメスを入れた本書はそれだけでも他書と一線を画したものだと思います。

そして重要な点はこれからなのですが、ロックフェラー勢の主導により時期的にも先行したウラン型爆弾の開発は比較的早い時期の完成を見ます。ところが、ロスチャイルド主導のプルトニウム爆弾の方は開発が遅れてしまいます。
アメリカ(いや、正確には原爆カルテル)としては、どうしても両タイプの原爆を使用したかったのです。
原爆プロジェクトの総指揮をとった陸軍長官ヘンリー・スティムソンはモルガン財閥と深い関係のある人物であり、終戦を引き延ばし、プルトニウム爆弾を是が非でも日本へ投下する使命を帯びていました。
そのためにこそ日本へ無条件降伏が突きつけられたのです。
これによって、日本は事実上降伏するためのカードを奪われる事となったのです。

さて、以上が「原爆の秘密・国外編」の概要です。
本書はさらに国内編へと続きます。
原爆の秘密 (国内編)昭和天皇は知っていた原爆の秘密 (国内編)昭和天皇は知っていた
(2008/07/19)
鬼塚 英昭

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もちろん、こちらも読み次第また感想を書かせてもらいますよ!

それにしても、すさまじいまでの情報量且つ論理の一貫性には著者の執念すら感じる書籍です。

ですが、個人的にいくつか気になる点もありました。
まずは、全体としては結局本書はいわゆる「ユダヤ陰謀論」の一冊だという事です。
軍産複合体制の下、当時最大の国家プロジェクトである原爆開発にユダヤ財閥が関わるという事実は知識として知らなくても自然に想像出来るものでしょう。
確かに、少なくとも「動機」の面においては本書の主張は納得しても良いです。
しかし、問題は果たしてこれが全世界を自在に操るだけの力があるのか?という事です。
因果関係を逆転させて無理矢理陰謀論を導く、というありがちなパターンは本書でも随所に感じられてしまうのです。

また、史実を覆す事実を提示するのは良いとしても、それに対する十分な立証に成功しているとはとても思えませんでした。
例えば、米・英・独をまたぐ産業カルテルの指摘は良いとしても、だからといって「第二次大戦が全て最初から仕組まれた芝居に過ぎない」という事実まで導き出して良いものでしょうか?
ノルマンディー上陸作戦は「やらせ」だったとか、ヒトラーがロスチャイルドの血を引いているとか、私個人としては興味をそそられる話題ではありますが、真っ当な歴史家からすれば全く相手にされないレベルのものでしかないでしょう。

以上の感想はあくまで本書を読んだ私の印象に過ぎません。
現時点で、本書を詳しく検証出来るだけの知識は持ちあわせていませんし、なにしろ軽く一読しただけですから読み落としている部分も相当あろうかと思います。
しかし、いずれにしても本書を切っ掛けに今まで無知だった原爆に関する知識の一端に触れられた事は私にとって良い経験になりました。




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プロフィール

カカセオ

Author:カカセオ
年齢・性別不詳。
使用する言語は日本語・ポルトガル語。
「美しい人生とは?」を常に追い求めています........
歴史の話、語学の話が大好きです。

銀河英雄伝説名言録



present by 田中芳樹:徳間書店「銀河英雄伝説」

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