A VIDA EM ROSA

日本文化とポルトガル語を愛する私の部屋。

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葉桜と魔笛

今日はひとつの小説を紹介したいと思います。

太宰治「新樹の言葉」に集録された短編小説「葉桜と魔笛」です。
この小説は高校の時の教科書に載っていて、当時からとても印象に残っていたのですが、最近読み返してみてやはり名作だな~と再認識させられたものです。

小説の舞台は日露戦争下のとある城下町。
18歳の姉と16歳の妹が主人公です。
既に母親は他界し、姉妹と父親の3人家族なのですが、妹は腎臓結核を患っており余命幾ばくもない状態。
物語は既に年老いた姉がその当時の様子を回想しながら進んでいきます。

病に伏せる妹に届いたM・Tと称する男性からの一つの手紙.......
大喜びすると思っていた姉は妹の意外な反応を目にするのです。
そこには妹の悲しい真実が........

その数日前、姉は妹の箪笥の中から意外な秘密を知ってしまうのです。
それは妹の恋人M・Tから届いた数通の手紙でした。

妹に恋人が居た.......

それまで恋のひとつも出来ずに死んでいく妹をただ不憫に思っていた姉は衝撃を受けます。
しかも手紙を読み進むうち、彼女らの交際が単なるプラトニックなものでなく、既に一線を越えていることを知るのです。

一瞬妹に嫉妬を覚える姉。

姉自身、亡き母に代わり家事を全て任され、妹の看病に追われる毎日。
とても恋などする時間は無かったのです。

しかし、そんな一瞬の嫉妬もすぐに深い同情へと変わります。
最後の手紙に書かれた内容は、妹の病気を知ったM・Tからの一方的な別れの宣告だったのです。

全てを知ってしまった姉は、恋人を装い妹に偽の手紙を出すのです。

....あなたに別れを告げたのは、決して愛が失せたからではなく自分に自信がなかったから....
...私はあなたをまだ愛している。その証拠に毎晩6時にあなたの家へ行き、屏の外で口笛を吹く...

こんな偽の手紙を書いた姉は、自分が恋人を装い、毎晩6時に口笛を吹くつもりだったのです。
ところが......妹は知っていたのです。この手紙は姉が書いたものであることを。
なぜなら、そもそもこの恋人M・Tなる人物は実在しない人だったのです。
そう、M・Tからの手紙は全て妹が自分自身で書いたものだったのです。

「あたし、あんまり淋しいから、おととしの秋から、ひとりであんな手紙書いて、あたし宛に投函していたの......あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった......ああ、死ぬなんて、いやだ。あたしの手が、指先が、髪が、可愛そう。死ぬなんて、いやだ、いやだ。」

こうつぶやくやせ細った妹を姉は泣きながらそっと抱きしめるのです。

その時.....
二人は思わず耳をすませます。
そう、確かに聞こえるのです。口笛の音が.....
時計をみるとちょうど午後6時......


美しい小説です。
15分もあれば読めてしまう短編小説ですが、私にとっては生涯印象に残る作品ですね。

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コメント

良い話ですね。私も太宰の小説は少し読んだ事がありますが流石に読者を厭きさせない上手さの上に、彼らしい世の中の見方がありますね。残念ながらこの本は読んでいません。何だか泣き出しそうな話ですね。
私が中学高校の時に呼んでいたイギリスの作家でアラン シリトーと言う人の短編の中で確か『漁船の絵』だったかな?(シリトーはビートルズの直前の世代でグラスゴーの庶民の生活が主な主題でした今生きていると80歳位?)グラスゴーか何処かの青年が何と無く結婚し、上手く行かない結婚生活の後妻はある日塗装屋と駆落ちし、其の後も彼は郵便配達の仕事をしながら同じ場所に住み、淡々と自分の境遇に落ち着いていくのですが、ある日突然別れた妻が彼を訪れ始め(生活が苦しくなっていたようで)不憫に思った彼は妻の好きだと言った絵を彼女にあげるのですが、直ぐに近所の質屋に其の絵が現れるのです。最終的に彼女は交通事故で死んでしまうのですが、この話、何ともいえず切ない語り口で、大人になった今読み返すと如何思うのかな?とカカセオさんの太宰の話を読んでいて突然思い出しました。では!Hasta Pronto!

ejnewsさん

太宰治は文章が平易なのであの時代の作家としてはとても取っつきやすいですね。
好き嫌いのハッキリ分かれる作家でもありますが....

「漁船の絵」ですか?
面白そうな話しですね。今度探してみます。
有名な大作よりもむしろこうした短編小説に印象的な作品があったりするものですね。

こんにちは

カカセオさんのブログにお邪魔しただけで、
なぜか短編小説を2作(ejnewsさんのシリトー作品も含め)も読めてしまった!
(→読んじゃいません!! ちゃんと読むように。>自分)

太宰の作品は『人間失格』ですら、あらすじを知ってしまって、読んでいないのですよ。
「葉桜と魔笛」ですか~。何とも言えない味わいのある作品ですね。
カカセオさんに紹介してもらわなければ、ずっと知らないままだったでしょう。
ありがとうございました。
また、秘蔵の作品教えて下さいね。

Nemoさん、

太宰治は人間的にはどうしようもないダメダメ人間だったみたいですが(失礼!)、確かに作品は良いんですよね。
この手の小説は人によっては大嫌い!という場合もありますから、あまり人に勧めた事はないんですけどね。
興味があったら読んでみてくださいな。

また面白い小説をみつけたら、ブログで紹介しますね~

シリトーの作品の舞台になったたのはグラスゴーと書きましたがリヴァプールだったと思います。彼の最も有名な作品は映画にもなった『長距離ランナーの孤独』The loneliness of the long-distance runerですが、(私はこの作品よりも彼の他の短編の方が好きです)私の若い頃はシリトーの多くの短編集が翻訳されていました。では!

リヴァプール舞台でしたか~
私は海外文学には疎いのでシリトーという作家も知らなかったんですが(イギリス文学で知っている作家はブロンテ三姉妹くらいなもので^^)、短編集が多く出ているのであれば書店でもすぐ見つかりそうですね。
今度見つけてきますね。

Muito interessante

Só pela introdução que escrevestes,
deu para ter uma noção do romance*
Vou ver se encontro este romance na livraria..
(*)Romance = 小説

横の欄・・・

「他の言語」、この記事の内容を訳してくれるのかと、ちょっとばかり期待してポルトガル語をクリックしてみました・・・(^m^)

ブログ全体の概要を訳するのですね!
記事の内容は開けなかったので残念でしたが、
面白い試みです。

け・せらー♪さん、

Obrigado !

Aconselho que leia este romance.

私の下手な解説よりは、やはりオリジナルの文体の美しさを味わうべき作品ですから^^

あれ! 本当、記事の方はダメですね~!!
前のテンプレの時は記事も訳してくれたんですけど...

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プロフィール

カカセオ

Author:カカセオ
年齢・性別不詳。
使用する言語は日本語・ポルトガル語。
「美しい人生とは?」を常に追い求めています........
歴史の話、語学の話が大好きです。

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